「お兄ちゃん!」
「あ?」
まだちょっと機嫌が悪いのか、
少し低めの声が返ってきた。
「ありがとっ」
アイスを見せて言う。
だけど、お兄ちゃんは…。
「なにが?」
なんて言ってとぼけるんだ。
一瞬笑ったの、
バレバレだし。
『何が何が?』ってしつこく迫る駿君にお兄ちゃんは一発蹴りを入れていた。
そういえば、まきえは…?
まきえはどこに行けばいいのかわからないらしく、
リビングのドアのところで
固まっていた。
「まきえ、適当に座んなよー。
ってもソファーは占領されてるけどね…。」
「あ、うん。」
リビングの椅子に座ろうとするあたしの
前の椅子に小走りで駆け寄った。
まきえだけには、ちゃんと飲み物を用意した。
熱射病になるくらい暑い毎日から、
少し肌寒い、秋に変わろうとしている今日この頃。
暖かいカプチーノを出した。
まきえはそれを一口飲んで、
目を輝かせていた。
……?
なに……?

