「俺さ〜、このクラスでアイツとだけ唯一

話したことないんだよな。」


郁実と呼ばれる青年は、若干怖そうだけ

ど中身はとてもやさしくいつも周りに

誰かしらが居る。郁実は頭を人差し指で掻

いて、窓際の少女に視線を留めていた。



「やだ〜郁実くんはあんな子とお話しした

いの?私たちがいるじゃない?」




空は完全にネズミ色に染まってしまった。




季節は夏だった。



彼女のスクールバッグに付いた羊の

マスコットが揺れた。