「ちょっと!松岡くん。のばらが宙を見てフリーズしてるんだけど!」



しばらくして、昌を完全に無視して課題に取り組んでいた俺に、南さんは慌てた様子で言ってきた。



その言葉に動かしていた手を止め、のばらを見ると確かに宙を仰ぎ見て固まっている。




「ねぇ、あの子。目開けたまま寝てるの?声かけても反応しないんだけど」



『…放っといてやって。そのうち動くから』





初めてあののばらに直面する人は、大抵驚くのだが、俺にとっては見慣れた光景だった。



そりゃ、俺も最初に見た時はビビった。

正直、気味が悪いくらいだった。

私、見えてるんです。なんて言いそうな雰囲気で宙の一点を見てるし。