人の死はあっけない


人は脆く弱い


人は強く寂しい


こんなにも不完全なのに何故人は生まれたのだろう




目の前に死体がある


さっきまで息があったのだろうが今はもう無い


その実感がないほど綺麗な死体だった


泣きたい


雨が止み 空は夕暮れている


そんななか彼女は死んだ


あと少しで救えた


何故救えなかった


太陽が彼の影を作り出す


「……なんでだよ」


彼は彼女を抱き寄せ、言った


「……なんでなんだよ」


彼女の体は驚くほど冷たい


「嫌だ……」


彼女は彼女でない


「嫌だよ……」


もう助けられない


「誰でもいいから……助けてくれよ」


自分に力がないのは自分が一番わかってる


「うあぁ……」


彼女はもう助からない


「うあああああああああああ!!!」


彼は叫んだ


「おめでとう!!君は選ばれました!!」


謎の声が耳に入らないほど