「ふーん、名前は...みずはらあゆ?」


興味無いなら聞かないで欲しい

そう心の中で思いながらも...


って今名前言われた!?


何で知ってんの!?


「そんな驚くなって。そこに書いてあんじゃん」


そういって男は私のカバンを指さした。


そうだった、カバンに自分の名前刺繍してあるんだった。



「...それじゃあ」


そういって帰ろうとした時


「...愛優」


そう呼ばれた。

ドキッ

不意に名前を呼ばれたからドキッとしてしまった。


しかも、その瞳は悲しげに私を見ていた。


私らしくない。


私はめんどくさいから無視した。


追いかけてもこなかった。


と、思ったら失礼なヤツの隣にいた人が私の前に来て


「ごめんね、アイツ不器用なの。これアイツの電話番号だから、なんかあったら連絡して?愛優ちゃん?なんか悩んでるみたいだし」


そういって帰っていった。


なんなの、あの人たち。


あんな奴らとなんてもう二度と会うこともないし、まぁいっか。



そう思ってるはずなのに寂しいと思ってしまう私はどうかしてる。



それからすぐに帰りたくもない家に着いた。



「ただいま」


...


返事はない。


これも私の日常。