きっと、家を出ていったのも
理由があったのだろう。
でも、幼かった私はそんな父親の愛なんて
忘れて、ひどい憎しみしかなかった。
ひどいのはどっちなんだろうね。
私だって人のこと言えないよ...
「お父さんの言う通り
私はお父さんのこと死ぬほど憎かった。
でもね、心の奥ではずっと会いたかった。
私にとってたった一人のお父さんだから...」
きっと私は意地を張ってたんだろう。
「ありがとう...愛優」
「実はあの時、
お父さんは仕事を辞めさせられてね
それで多額の借金があって
愛優たちには迷惑をかけれないと思って
家を出たんだ...
その借金も数年前に返し終わって
愛優に会いに行こうと思ったんだ。
本当にすまなかった。」
お父さんは何回も頭を下げた。
「もういいよ。
昔の事はもう忘れて
これから仲良くしようよ」
「ありがとう...
君はやっぱり名前の通り優しい子だよ」



