「お前、ほんと無愛想だよな!」
「うっせぇ」
來輝はこんなやつだけど俺の大事なダチだ。
そんなこと思っていると俺達の少し前に女が下を向いていた。
なにしてんだ?
女の足元を見ると濡れるはずのないアスファルトが濡れていた。
泣いてんのか?
俺らそんなあいつをほっとけなかった。
何を聞いても逆ギレされるだけで。
しかも、中々顔上げねぇし。
でも、アイツの顔を見た時正直ドキッとした。
そこらへんの女優やアイドルに負けねぇ顔してた。
栗色の少しロングな髪の毛にクリっとした綺麗な目にきめ細かい白い肌にぷっくりとした唇。
身長は女子の平均ぐらいか?
158ぐらいか?
でも、愛優の綺麗な瞳には光なんて無くて輝きのない目をしていた。
コイツ、俺と同じかも。
不意にそう思った。
いつもなら俺の顔を見るとこっちに寄ってくるのにコイツはそんなことしてこなかった。
アイツは走って帰ってしまった。
「翔琉、大丈夫なのか?」
來輝が心配そうに俺を見てきた。
なにが大丈夫なんだ?
確かにアイツはなんかありそうだな。
家にも帰りたくなさそうだったし。
「ふーん、水原愛優か。」
それから俺らは倉庫に戻ってゆっくりしていると
────────プルルルルっプルルルルっ
いきなり知らないやつから電話が掛かってきた。
誰だよ。こんな時間に。
もしかして、ほかの族のやつか?