私はびっくりした。



だってそのバイクは、










鬼龍の総長のバイクだったから。



ってことはコイツは鬼龍の総長?



だから、一発で雅人さんを気絶させることができたのか。


「驚いた?」


アイツは優しく聞いてきた。


でも、夕方見たその瞳は変わっていなかった。



「...うん」


ひょいっと。


バイクに乗るのなんて久しぶりだな~


私がバイクに乗るとアイツは少しびっくりしたようにこっちを見てきた。



「なに?」


「いや、なんも、おもしれーやつだなって」



何が面白いのよ。


しばらくしてバイクは動き始めた。


コイツは遠慮してるのかあまりスピードを出していない。


気使えるんだ。


風が心地いい。


久しぶりにこの風を感じる。


「もっと出しても平気だよ」


私がそういうと



「お前、ほんと変わってるよな」


「飛ばすぞ」


そういってグンッとスピードを上げた。


さすがにそれは速くてコイツにギュッとしがみついた。


でも、もっと心地いい風が顔に当たる。



「いい風だね」



「ああ」


私たちは特に会話することもなく鬼龍の倉庫らしきところについた。