震える手が止まらない...
私、行く宛もないのにどうしよ...。
スマホをじっと見つめた。
いや、どうせ、出ないだろうし。
あの男が追いかけてきたらどうしよう。
そうなれば今度こそ終わりだ。
私は何も考えずに電話をかけた。
────────プルルルルっプルルルルっ
...出ないよね
切ろう...
そう思った瞬間
『...誰だよ』
その声はアイツの声だった。
その声に安心したのかなぜが涙が出てきた。
「うぅっ...うぅ...っ」
『お前、誰なんだよ。切んぞ』
「ま、待って...」
この状況で切られると結構辛い。
『てか、その声...愛優?』
ドキッ
まただ。
雅人さんに呼ばれた時は気持ち悪くて仕方なかったのに今はドキドキが止まらない。
おかしいな、私
「...うん。お願い、助けて。...愛優!!お前どこに!!キャッ」
私は電話に夢中になって後ろから近づいてくるあの男に気づかなかった。
「今から気持ちよくしてやるから~」
「や、やだ...!やめて!!」
あ、...手が震えて止まらない。
こんな時に!!
動け!!
動いたらきっと私はコイツを半殺しにしてしまうだろう。
こんな道路なのに。
私はこんなところで襲われるのか。