溺愛の桜

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スムーズすぎて怖いくらいだ。

ラインの返事は予想外にもすぐに返ってきた。

今晩、家に遊びに来ないかとの誘いまで受けてしまった。

彼はひとつ年下。

宇野優生(ゆうせい)と名乗った。

ラインのプロフィール画像に載っている顔写真は格好いいというよりむしろ可愛い系。

彼は○○市で一人暮らしをしているらしい。

距離的にはそんなに遠くない。

夜は千尋と食事の約束だったが、千尋の気遣いで延期となった。

しかし、重要なのはそこではなくて。



「一人暮らしの家に私一人で行けって言うの?!」

「大丈夫!たあくんの連れだし、いきなり襲ったりはしないって!」



たあくんとは、千尋の彼氏の事。

連れとはいえ、男は男だ。

朋奈が関わってきた男は交際していなくても手を出してくる人が多かった。

悉くそれは断ってきたのだが、どう考えてもこの誘いは危険すぎる。



「千尋もついてきてよ〜。」

「たあくんがヤキモチ焼きだから、それは無理なんだよ。」

「えぇー。」



あんなに協力的だったはずなのに、最後の最後は他人事だ。

覚悟を決めて、行くしかない空気になってしまった。

距離感さえ保っていれば、手を出してくる事もないだろう。

自分に言い聞かせて、千尋の家を後にした。