溺愛の桜

「それにしても、出会いないとか言ってたけど社会人になってから何人と付き合ったの?」

「んーと、五人かな。」

「うわ、魔性の女だわ。」

「ひどーい!そんな事ないもん!」



同窓会で会った同級生、街中で声をかけてきたホスト、ナンパ男。

付き合った男性は見事にバラバラ。

決してずば抜けて綺麗とかではなく、どこにでもいそうな極普通の容姿なのだが、あまりフリーになる事はなかった。

これは両親の教えの賜物なのか、それともただのモテ期なのか。

それを言ってしまえばそれはそれで終わりだ。



「どれも3ヶ月以上続かないって、魔性の女でしょうが!」

「・・・。」



返す言葉が見つからない。



「まあ、トモ人見知りしないし盛り上げ役って感じだから、それにみんな惹かれちゃうんだろうけどね。」

「えー?ムードメーカーなんて大げさだよお〜!」

「ソコマデイッテナイ。」

「あ、はい。」



調子に乗るなとばかりの威圧感で突っ返されてしまった。



ピロリン♪



そうこうしていると、千尋のスマホに着信が来た。

言わずもがな誰からの着信かはすぐにわかった。



「男の子紹介してくれるって!」



予想通り、着信は千尋の彼から。

なんだか朋奈よりもテンションが上がっているようだ。



ピロリン♪



「お、ラインのID送られてきたよ。」

「え、許可取ってるの?!」

「さあ?一度送ってみたらいいんじゃない?転送してあげる!」



とんとん拍子に事は進む。

生憎、朋奈も失恋を引きずるたまでもないので素直に従った。