「なんで泣いてるの?」

心配そうに私に声をかけてくるその人。

「あなたに関係ないじゃない……」

振り切って家に帰ろうとしたとき

また彼の声がした

「君が今涙を流すことで何か変わるかな」

私は立ち止まった。

「あなたに何がわかるんですか?」

感情的になって言い返す。

この辛さ、あなたにわからないでしょ?

「わからない、でもその涙は無意味だよ」

一歩一歩近寄ってくる

目の前までやってきてこう言った


「1度手放したものが戻ってくる物なんて早々ないんだから」