電話を受けてから2日間、あたしは家から一歩も出なかった。
事故の二日後、修が家に来る約束をしていたからだ。
もしかしたらあの電話は手の込んだドッキリで、約束の朝に夜行バスに乗ってきた修がドアからひょっこり顔を覗かせるかもしれない、と思った。

一睡もせずに朝が来て、太陽が真上を過ぎ、沈みかけたその頃になってやっと、ああ、修は死んだのだといい事実が心の隅に引っ掛かった。
あたしはそのままベッドに潜り込み、丸一日眠った。

次の日は実家の方で修の葬儀があった。もちろんあたしは行けなかった。眠っていたからだ。
いや、行かなかったというのが正しいだろう。修の死はあたしの心の隅に引っ掛かってはいたけれど、その内側へ染み込んでいくにはまだまだ時間を要しそうだった。