1 鼓動のユクエ 「生き物って、一生の間に打つ鼓動の回数がほぼ一定らしいよ」 そんなことを修が突然言い出したのは二年前、高3の12月だった。 「……で?」 「や、特に広がりはない」 話題の転換についていけずとりあえず先を促したあたしに、修はあっさりと言い放ち、冬の冷たい空気にかじかんだあたしの手を握って軽く揺らした。 こんな風に修がいきなり突拍子もない話題を振り、そのくせ中途半端に終わらせることにその頃はもう慣れていたけれど、あの日のあたしは妙にその話題が心に引っ掛かった。