太耀君にお礼を言えないまま時間は過ぎ、
部屋の電話に残り時間30分のお知らせ。
「もう延長はいいよねー?
残り30分楽しもーう!」
最後の盛り上がりを楽しみながら、
奥の席にいる太耀君の方を見る。
すると、ちょうど男子達のからかう声が
聞こえて来た。
「お前まだそんな事言ってんの?
あんな美人の姉ちゃん達がいて
羨ましいけど、逆に可愛いそうだな。」
「あいつら全然美人じゃないし!
ガサツで人使い荒いだけだって!」
…?
いまいち話の内容がわからないでいると、
隣にいた由紀が話始める。
「太耀はさ、優しいし結構モテるんだけど、
恋愛対象として見れないって断るんだよね。」
(…そっか…モテるんだ…。)
軽くショックを受けている自分に気づき、
そのことに戸惑っていると、
由紀が続ける。
「まぁ、近くにあんな美人姉妹がいたら
理想が高くなるのも仕方ないけどねー。」
(そんなに綺麗なお姉さん達なんだ…。
いつか見てみたいな。)
そんな事を考えているうちに
終わりの時間になり、みんなが解散していく。
(今日のお礼、まだ言えてないのに…!)
私は太耀君の姿を探しながら、
急いで店を出た。

