迎えたクリスマス当日。
学校から帰り、急いで支度をした私は、
太耀君の家の前に到着する。
2人きりではないけれど、
クリスマスを一緒に過ごせる事が嬉しくて、
思わず顔がほころぶ。
緊張しながらチャイムを押そうとした時、
後ろから声がかかる。
「邪魔だから、入るなら早くして。」
私が驚いて振り返ると、
そこにはランドセルを背負った女の子が
不機嫌そうな顔をして立っていた。
(あ…妹さんかな…?)
「ごめんなさい…!」
私は謝る事しかできず、
扉の前からずれて道をあける。
女の子は何も言わず扉を開けると、
そのまま家の中に入っていった。
目の前で扉が閉まり、
私は少しの間呆然としてしまう。
(何か、すごい怒ってた…?
後でちゃんと謝ろう…!)
気を取り直してチャイムを押すと、
「はーい!どうぞ!」
すぐに太耀君が出迎えてくれた。
部屋の中に入ると、壁や天井の飾りつけや
テーブルの上の豪華な料理に目を奪われる。
「すごい…こんなクリスマス初めて!」
私は目をキラキラさせて部屋の中を見回す。
すると、太耀君のお母さんとお姉さん達が
声をかけてくれる。
「六花ちゃんいらっしゃい。」
「今日は楽しんでねー!
改めて、太耀の姉の楓香(ふうか)です!」
「私は次女の綾海(あやみ)でーす!
後で太耀の恥ずかしい写真見せてあげる♪」
「だから、そういうの止めてくれよっ!!」
賑やかな雰囲気に、私も思わず笑顔になる。
けれど、先程妹さんを怒らせてしまった事を
思い出し、太耀君に声をかける。
「太耀君ごめん、
さっき妹さんに悪いことしちゃって…。」
「月子(つきこ)に会ったんだ?
きっとそんな気にしなくても大丈夫だよ!」
そう話しているとちょうど部屋のドアが開き、
月子ちゃんが姿を見せた。