「やっだぁ!猿渡さんって、社長さんなの?!すごおーい!」
パチパチっと可愛らしく拍手をすれば、猿渡さんはまんざらでもなさそうに照れ笑いを浮かべた。
「飲み物はなに飲みますー?」
「んー、酎ハイでいいかな」
「えぇー!あたしのためにドンペリ頼んでくれないのー!?」
「ドンペリ飲みたいの?」
「うん!あのシュワシュワってやつが大好きなのっ!」
「…奈々ちゃんには負けるなあ。しょうがない、ドンペリ1つ!」
「わーい!やったぁ!猿渡さん大好きっ!」
よっし!
あたしの収入増えた!
チラッとあたしと離れたテーブルにいる夏希と目が合い、深く頷き合った。
猿渡さん、あたしのこと気に入ってくれるといいけど。
何度も来て、何度も指名してほしい。
あたしはお金が必要なんだ。
