恥ずかしくて思いのほか大きな声が出てしまった。
「はし……何だそれは…」
あ、そっか、ここは日本じゃないから分かんないのか…
「えっと、、細い棒のようなものを2本使って食べ物を挟んで食べる道具です…」
「そうか…お前の国にはそのような習慣があるんだな。しかし生憎この国にはその様なものはない。申し訳ないが今手元にある物ではダメか?」
「で、でも私……テーブルマナーとか、よく分かんない…」
「……なんだ、そんな事を気にしていたのか。別にそんな事思わなくても構わん」
「わ、分かった」
それから私は自分でもどれだけ腹が減っていたんだと飽きれるほど食べ続ける
「……お前。どれだけ食えば胃が満たされるんだ……」
「ご、ごめんなさい……あまりにも美味しくって……」
「そうか、それは嬉しいな」
そう言うと彼はフッ…と優しく微笑んだ
「そういえば、お前、異国の国から来たことはわかったが、どこからきたんだ?」
「えっと、日本です。」
「日本……聞いたことない」
「そうですか…」
「ならばお前」
「あ、あの、、」
「どうした」
「あの……名前で…呼んでもらえませんか…?お前。だとなんだか……」
「これは失礼した。ならばみのり。お前はどうやってこの国に来た?」
「それが……よく分かんなくて…学校から帰るときちょっと寄り道してて、その時見たことの無い森のようなところで、真っ黒なたぬきが怪我してて。そのたぬきを治してあげたらたぬきがついてこいっていうから着いて行ったら足を踏み外して、気づいたらここに……。」
「そうか……みのり、そのたぬきの言葉が分かったのか?」
「言葉は分かんない…なんとなくそう思っただけ。」
「そうか……」
彼はぽつりとそうつぶやくとナイフとフォークを置いた
