ひとしきり泣いた後、空腹も感じ始めこのまま死ぬのではないかという恐怖に怯え始めた頃……
コツン…コツン…コツン…
階段の方から誰かがこちらへ向かってくる音がした。私は身震いしながら鉄格子の方を見ていると1人の男が牢の前に現れた
私は目を疑った。なぜならそこにはこの薄暗いところでも分かる。
つややかな黒髪に、淡いブルーの瞳、スッとした鼻に、薄いピンク色の唇。
これがいわゆる。"イケメン""美青年"
というものなのだろう。
するとその美青年は低めのトーンで
「お前か…捕らえた怪しい者というのは。本当に女じゃないか。お前、どこの国のものだ」
少し目を細めて言った。
私は彼が着ている服装からしてこの城の偉い人なのではないかと考えた私は、彼に頼めば、ここから出してもらえるかもしれない。そう思い私は彼に近づき興奮気味で訴えた
「わ…私!!!よく分かんないけど…たしかにこの国の人じゃありません!で…でも!全然スパイとか、そういうんじゃなくて……!グスッ…」
すると何故だかさっき嫌というほど流した涙がまた出てきた
「お願いです!!私を出してください……こんな所……でっ…ヒクッ…死にたく……ないっ……………………………怖いよ…………!!!!」
ああ、多分今、私は涙で顔がぐしゃぐしゃだ……でも、、ここから出てはやく自分のいたところに帰りたいという思いが一気に込み上げてきてそれどころではなかった。
彼は少し驚いたような顔をした後
ガシャンと鍵を開けこう言った
「お前……名をなんと言うんだ」
「…………え?…………湊美……みのり。」
「そうか……」
すると男は顎で私についてこいと合図をし、歩きだした
