独占欲は強くて当たり前、


周りの女子が奔放に彼氏を放し飼いしているのを見てからその概念がより強くなった。


寂しくないの?


自分だけ見てほしくない?


深まる疑問。


その目も口も耳も心の臓も自分のためだけに動かしてほしい。


重いなんて言い方がきつい。


これは愛だから。


愛し合ってる証拠。


だって彼だって私を愛してくれているし、受け入れてもくれる。


そんな彼をわかってあげられるのも私だけ。


「結構独占欲強いんだね」


私が話し始めると友人の顔が引きつる、


「それほど愛し合ってるって事なの」


「本当かなぁ?」


「は?」


女子らしからぬ声色と目つきに友人は作り笑いを浮かべて、一度咳払いをした。


「重いだけ重くてもあんたが苦しむんだよ?」


「苦しむ?」


「何かあった時の事を言ってるの」


おかしな発想を浮かべる友人に私は余裕ぶって机の上に置いていた水筒のお茶を飲んだ。


「いつもそばにいたからわかるんだよ?」



確かにそうだが…恋愛感情に人一倍疎い彼女から説教されても嬉しくない。


私は体を背もたれに任せると落書きされている黒板をじっと見つめた。


「怒った?」


「ううん、なんか嫌な予感がしただけ」


「何かあったら言ってよ?」


「なんでよ」


やけに心配する彼女の眼は本気で、


「すぐ追い込まれて堕ちちゃうんだから」


痛いところをついてきた。


「負の連鎖っていう言葉あるじゃない?」


あんたの場合それよ、と友人は席を立って窓をわずかに開けた。


「負の連鎖ねぇ……わからなくもないよ?」


「でしょう?」


「なんかぐるぐる変な事だらけになって苦しくなって…気づけばカッター持ってる」


「死なないでよ、こっち困るから」


「頑張るよ」


それ以上話もなさそうなので私は椅子から立ち上がりスクバを肩にかけて教室を出た。


友人との長期休み前の放課後の教室での長話はここで終わった。