痛いっ、あ、今痛いとこ当たったよ。誰かの肘が痛いとこ当たりましたー!ちょっと椿!こんな時ぐらい助けなさいよ……

睨みつけるために椿の方を見てはっとした。

何だ、嬉しそうじゃんか。

今まで、こんな時の椿の顔見てなかったけど。嬉しそうにしてんじゃんか。

きっと、嫌な顔してるだろうなんてあたしの想像に過ぎなかったのか。

あー、よかった。椿も、もうすぐあたし離れなんだ。

「つ、椿。あたし、先いくから」

「え、ちょっと待てよ、おい!」

いつもなら、教室まで一緒に行くけど、今日は一人で行こう。椿楽しそうだから。あたし要らないっぽいから。

椿がなんか言ってたけど、振り返らずに歩いた。

今日はなんだか、教室が遠いなぁ。