なんで、どうして花流が。

そんな泣きそうな顔で花を入れてるんだ。

俺の下駄箱に入っていた花は勿忘草(わすれなぐさ)だった。

『わたしを忘れないで』

確か、そんな花言葉だった気がする。

俺は花流を追いかけようとした。その時だった。

「どこに行くの?椿くん」

「…愛」

愛は俺の前に立ちふさがった。いつもの可愛らしい目はそこにはない。

「私ね、お花なんて知らないんだ」

「……っお前!」

「でも!!椿くんが欲しかったの!」

俺が、欲しかった?