「あたしね、胸が大っきすぎて悩んでるって言うと、みんなにゼイタクな悩みだって言われちゃうんだけど、でも本人にとってはスゴク深刻な悩みなんだ。だって一番隠したいところをみんなにジロジロ見られるんだから、恥ずかしいってゆーか、ホント、イヤ」
あたしは彼を信用して心の傷をさらした。
「そっか…。俺も、なにやっても、いつもみんなに見られてるから、ホント、イヤだった」
「もしかして、あたしたちって似た者同士ってコト?」
「そうかもな」
「そうだよ。それにきっと、同じ痛みが分かる者同士なら、2人で1つの痛みを分かち合って、半分の痛みにすることだって、できるんじゃないか、って、あたし思う」
「………」
彼は黙って眉間にシワ寄せながら、おでこの真ん中から、手グシで長めのサラサラ前髪をわさーっと後ろのほうに、かき上げた。
「………」
彼の沈黙につられるように、あたしも沈黙してしまう。
返事をしてくれない、ってことはあたしのことを似た者同士だって……仲間だって認めてくれていない、ってコト?
彼の沈黙があたしを不安にさせた。


