これまでも芸能人の子どもということで、良くも悪くもトクベツ扱いされ続けてきた彼だけど、結局みんなは彼に“俳優・誰だれの息子”というレッテルを貼りつけ、誰も彼自身のことを独立した一人の人間として見てあげていなかった、ということだ。
イケメンに生まれただけで、いくらでも女のコと付き合えるんだろうけど、でも付き合った相手の何人が、その人の内面まで本当に好きになってくれたのかと考えると、気安く女のコとは付き合えなくなってしまうのかもしれないと思う。
カエルの子がカエルであるように、父親がイケメンだから、生まれたときから息子もイケメン。そんなの、他人から見ればうらやましいとしか思えないことなんだけど、本人にしか分からない悩みもあって、そのことが主人公を苦しめ続けるという終わるアンハッピーエンドの小説だった。
主人公のモデルが作者の航平くん自身だということは、小説の主人公の悩み=(イコール)航平くんの悩みということになる。
「航平くん…いや、あの小説の主人公の男のコのキモチ……あたし、なんか分かる気がするよ」
外見とか表面上の性格とかでしか判断されず、本当の自分を分かってもらえないという悩みは、あたしにも分かるつもりだ。
もしかしたら航平くんならあたしの悩みを理解してくれるかもしれないし、逆にあたしなら航平くんの悩みを理解してあげられるのかもしれない。


