“ピロロロロロ…、ピロロロロロ…”
夏休み最終日の夜、家の電話のベルが2回鳴って切れた。
“ピロロロロロ…、ピロロロロロ…”
すでに身構えていたあたしは、慌てて母の部屋から家の電話の子機を持ってきて、自分の部屋へと急いで戻った。
“ピロロ…ガチャ”
「もしもし、航平くん♪」
「フッ。俺からの電話だと分かってるから出たクセに」
ちょっと、からかうような言い方だった。
「だって…」
だけど、からかわれてあたしは嬉しかった。
「あのさぁ、お前、今夜ケータイ小説サイトのチェックって、した?」
「えっ? 今、ちょうどサイトを見てたところだけど」
「俺さぁ、なぎさの小説を読んでるうちに、ケータイ小説の作り方が分かってきたから、俺もためしにUPしてみたんだけど」
「え―――――っ!!」
早速、サイトを見てみると、『コウ』という作家名で航平くんの作品がUPされていた。


