熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~

そう言って、長めのサラサラ前髪を、さぁーっと後ろにかき上げる彼。普通ならこういう場面では、自分なんか全然モテないよ、と否定するものだけど、彼の場合だと否定しなくて当然みたいに思ってしまう。

「じゃ、なんで…? なんで、あのあと、誰とも付き合わなかったの…?」

「理由は単純明快さ」

「単純明快…?」

このあと彼が言ったことは本当に単純明快な理由だった。これ以上ないというくらいに。



「俺があのあと誰とも付き合わなかった理由は、俺があのあと誰のことも好きにならなかったからさ」



「そんな…」

そんなセリフをさらりと言えるなんて。あたしには、ちょっと信じられない。

「誰のことも好きにならなかった…って……今まで一人も?」


「こんなこと言うと、またなぎさに冷たいオトコだと思われそうだけど、好きでもないコとは俺は絶対に付き合わない主義だ。そんなことしたら相手にも失礼だと思うし」


「…!」