その、すごくノンキな言い方が、またさらに憎ったらしい。
「もォ、あたしもなんか食べるっ」
あたしは波を蹴散らして、必死で彼の背中を追いかけた。
…と、途中で砂に足をとられて、あたしは前のめりで海の中にコケてしまった。
ザッパーン!!
「もォ、冷たすぎるよっ」
ようやく砂浜にたどり着いたあたしは、びしょ濡れになった髪の毛をバスタオルで拭きながら、彼をにらみつけた。
「そっか~? 今日の水温は、けっこー高めだと思うけどな」
他人事みたいに彼が言う。
「違うよっ。“海水の温度”のことじゃなくて、航平くんが冷たいって言ってるのっ」
「俺の性格を日本語に訳すな。“冷たい”じゃなくて“クール”と言ってくれ」
「もォ!」
彼がクールになればなるほど、あたしはカッ、カッしてしまう。


