熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~

「そーゆうワガママいうんだったら、デートはこれで終了にしまァ~す」

スッゴク憎ったらしい言い方だった。しかも、つないでいた手を離して、砂浜のほうに歩きはじめる彼。

「ええっ、ホントに帰っちゃうのっ…?」

あたしが真顔で訊くと…、

「冗談だよ、冗談♪」

…って、こういう場面ではフツーそう言うと思うけど、彼は黙って波間を砂浜のほうに歩き続けている。あたしを一人、海の中に置き去りにして。

「ね、冗談だよね…?冗談」

…って、あたしが訊いても、彼は黙々と一人で歩いていく。

「…!!」

やっぱり航平くんはクールだ。いや冷たいヒトだ。

あたしはショックで追いかけることさえできずに、打ち寄せる波に打たれながら、波間に呆然と立ちつくしていた。


すると――――


「オ~イ、いつまでそうしてんだ~? 俺、海の家でなんか食って、ひと休みしてからまた泳ごうと思ってんだけど、お前まだ一人で泳ぐつもりか~?」