熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~


「お~、お~、お二人さん、熱いね、熱いねぇ♪ もうから夫婦ゲンカの練習ぅ?」



茶化すように言ったのは、みさきちゃんだった。めざとく見つけたというよりは、フツーに見ただけという感じ。なにしろ、この瞬間、あたしと航平くんはおそらく全沖縄県中で一番注目を浴びている2人だったと思うから。

「いいなぁ、お姫様だっこぉ♪ 今日は、みさきじゃなくて、なぎさちゃんがお姫様なんだねぇ~♪」

「えっ、あたしがお姫様っ…!?」

演劇部では、いつもお姫様役のみさきちゃんを、舞台の下から見上げているだけだったあたしが今日は……今日だけはお姫様なんだ。

ふだん、お姫様役のみさきちゃんから、うらやましがられるなんて、なんか、お姫様の中のお姫様、プリンセス・オブ・プリンセスになったみたいでチョー嬉しい。

このまま時間が止まってほしいって、あたしは思った。


いや、でも時間が止まってしまったら、このあと、お待ちかねのフォークダンスができなくなってしまう。

お姫様だっこがいいか?それともフォークダンスがいいか?保健室でウンウンひとりで言いながら悩んでいるうちに、時間は流れて、こむらがえりからも回復して、フォークダンスの時間になった。