熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~


ベルが鳴りだしたばかりだというのに、まるで電話の前で待ちわびていたかのように、彼が電話に出てくれた。

「こっ、こっ…」

一瞬、ことばに詰まってしまった。でも次の瞬間…、

「こんばんは」

…って、あいさつしているあたしがいた。


「こんばんは♪」

彼のその声がなんとなく嬉しそうな声に聞こえたのは気のせいだろうか?

「今日はホントにその……いろいろありがとうございました」

思わず敬語になっていた。彼に対する後ろめたさが、遠慮がちな態度となって出てしまったんだろう。

「いや、俺のほうも服を乾かしてもらったり、コーヒー出してもらったりして感謝してる」

「今日もし、航平くん……が来てくれなかったら、あたし、ずっと航平くんのことを誤解したままだったと思います……」

「そうかもな。すぐに俺に訊いてほしかったかな」

「ごめんなさい……ちゃんと確認もしないで、あんなひどいメール送ったりして……」