熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~


どうしよう、どうしよう、どうしよう……。


頭の中で“どうしよう”がリフレインされはじめたとき、はじめて彼に話しかけたときの記憶がフラッシュバックで甦ってきた。魚住とと先生のサイン会の翌々日、夏休みの登校日の朝の、あのときの記憶だ。



「おはようございますっ」



そうだった……

まずはあいさつからはじめてみよう。



あたしは家の固定電話のボタンを、彼の家の固定電話の番号でプッシュした。

2回ベルを鳴らして切る。そして、もう1度2回鳴らして切る。これがあたしたち2人だけに通じる合図だった。

“プルルルルル…、プルルルルル…”

ここで受話器を置いてもう一度プッシュ。

“プルルルルル…、プルルルルル…”

また受話器を置いて三度目のプッシュ。

“プル…ガチャッ!”

「もしもし」