熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~


「………」

「あ、ごめんな。ヘンな話しちまって」

あたしの表情が暗かったのか、慌てて、という感じで彼が言った。

「全然ヘンな話なんかじゃないよ」

「こんなハナシ、今まで誰にも話したことねぇんだけどな…」

「そうなんだ…。嬉しいよ。今まで誰にも話したことのないような話を、あたしなんかにしてくれて」

「ジャンルこそ違うけど、プロの物書きになるっていう同じ夢を持ってるなぎさになら、夢のハナシをしてもいいと思ってな」

「うん♪」

それって、あたしだけトクベツ扱いしてくれてるってことだよね♪

「あたしもね、今まで誰にも話したことないんだけど、あたしが小説家になりたいのも、安座間なぎさはここだよ、ってみんなに分かってほしいからなんだ」


そもそも演劇部に入部したのは、幼なじみのみさきちゃんから誘われたせいだけじゃなくて、実はゆくゆくは演劇の脚本を書かせてもらいたい、と思ったからでもある。

今はダメでもいつか、もし将来プロの小説家になれたら、みんなに自分の思っていることを分かってもらえる。