「あー、美月が羨ましいわ…」
思わず、同僚の美月に向かって呟いた。
私は市原優子。桜野中学校の理科教師。もうすぐで25歳だ。
で、隣にいるのは高村美月。私と同い年で、ちなみに誕生月も一緒。彼女は最近、私と共通の同僚・荒木先生と付き合い始めた。
「何でよ?」
「職場でも彼氏に会えるなんて…」
それは私の本心である。
私の彼氏・石原幸樹は、大学時代の同級生。ちょうど一年前、街中で再会したことがきっかけで付き合い出した。
今は、とある県立高校で教師をやっている。
しかし今年は高三の担任になったらしく、勉強合宿やら受験のサポートやらで彼が忙しくなり、もう三ヶ月以上会っていない。
「私、彼氏と全っ然会えてないし…会いたいよ~…」
「彼、忙しいの?」
「うん。高三の担任やってるからさぁ」
「そっか~…今夜でも、電話掛けてみれば?」
「そうね~そうさせてもらうわ」
そう返事をしながら、私は昼食の残りの唐揚げを頬張った。