「美月…大丈夫?…って大丈夫な訳ないか」
少し歩いた頃、彼が立ち止まって言った。
「うん…すごく怖かった」
「そうか…もう大丈夫だから」
「ありがとう…武志」
彼は私の髪をそっと撫でてくれた。その手の温もりに安心感を覚える。
私はそのまま、彼にぎゅっと抱きついた。
「…でもあの時、突然キスされて驚いちゃったなぁ」
「ははっ、ごめんごめん。いいじゃん、俺らせっかく付き合ったんだしさ。キス位いいでしょ?」
確かにそうだけど…だって心臓がうるさいんだもん。
「ほら~またキスするぞ?」
「あははっ、もうダメ~」
二人でニコニコしながら、また歩き出す。
そして、小さな声で彼は言った。
「美月…好きだよ?」
私は嬉しさを噛み締めながら、無意識のうちに答えていた。
「私も、好き…!」
すると、彼が笑った。
「美月、やっと俺に『好き』って言ってくれたね」
大好きで大切な人と笑い合える。そして、私を想ってくれる人が近くにいる。
当たり前って訳じゃない。

だから、私は今、幸せなんだね。