「…知りたいの。『恋』を」
「ん?」
そう。私は…知りたい。彼のことも、『恋』っていう感情も。
「なんかね、一緒にいると…ドキドキするんだ。私じゃないみたいに…。だからね、このままドキドキしていたいって思ったの。まぁ、他にも沢山あるけどね…」
我ながら恥ずかしいことを言っていると思う。
やだ、私国語の先生じゃない…言葉の選び方は、相変わらず下手なのね。
「そうか…ありがとう」
そう言いながら、彼は私の髪を撫でる。机が二人の間にあるけれど、邪魔ではないらしい。まあ、身長178cmの武志は手足が長いからねぇ。私みたいな、158cmとは大違い。
あ、大事なことを紹介し忘れた。私は…。
…バッッッチーーーーーーーン!!!!
「痛てぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
周りに座っている人達が、頭部を押さえて半泣きになっている武志を何事かと一斉に見る。
「うふふ…ってほら、周りからすごい目で見られてるわよ☆」
「…ったく、誰のせいだと思ってんだよ…」
私には、相手(異性)から褒められたり嬉しいことをされたりした時、照れ隠しで『デコピン』とやらをやる癖がある。…全く困った癖だ。
「私を女だから…なんてなめてはダメよ、分かった?」
「それは美月の女子力がないってこと?…ってあぁぁあ〜ごめんなさいごめんなさい」
武志を思いっきり睨み付ける。
「酷いわ武志、私にだって女子力位あるわ!メイクもまぁ上手い方だし!!」
「料理は下手なくせに…」
「たーけーしぃ?その言葉をもう一回言ったらどうなるか分かるかなぁ?」
「美月にぶっ飛ばされます」
「正解です、良くできました☆」