聞き終わった彼女。大きく息を吸う音が聞こえた。
やばいぞ、これは汐莉、叫ぶぞ…そう察し、スマホを耳から離したら。
「恋だぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
案の定、お嬢、叫ばれました。
「うるさーいっ!!!知ってるわよそんなの…ってあれ?」
知ってる、だって。私、バカじゃないの?恋なんて、していないはずなのに…。
「はぁ、はぁ…あー叫びすぎた」
当たり前だ、と少々呆れていると、汐莉の声音が変わった。
「真面目に答えるとさ。まだ、本当の恋ではないんだよ、美月としては。わかんない、彼の方は…本気かもね。でも、そこは美月らしくゆっくり歩いていけばいいよ。恋は早い者勝ち、でも、美月らしさを忘れないでね!…応援してるから」

ね。
汐莉、前半にあんなにワーキャーワーキャーやってたけど、本当はすごくいい奴なんだ。

「ありがとう、汐莉。恋も仕事も、私らしく!汐莉も頑張ってね!!」
「あたしは平気!彼氏と相思相愛だもーん。にしても、美月が恋する日が来るとは…ぐすっ、感慨深いなぁ~…」
さすが、親友。お互いのことは、家族と同じくらい、分かってるよね?

普段は口に出さないけど、本当は思う。汐莉と親友になれて良かった、って。

ありがと、と言いながら彼女との電話を切った。