おにいちゃんの友達

兄は昔から慎重派だった。

そこはマサキとは対照的かもしれない。

きっと大学進学に向けては、色々リサーチして思い悩んでいるんだろう。

「お兄ちゃんて、将来何になりたいの?」

残ったパスタをさらえながら尋ねた。

「そうだなぁ。正直まだ考えてないんだ。」

「へぇ、シュンタがまだ考えてないっていうのは意外だったな。俺はてっきり医者でも目指してんのかと思った。」

「なんで医者なんだよ。何のゆかりもないし。これでも結構自分の進路、真剣に悩んでんだ。」

やっぱりね。

石橋叩いて割っちゃうようなタイプだから。

「そういうマサキはどう?」

兄はマサキに聞いてくれた。

私も気になってた。

ドキドキしながら、マサキの顔を見つめる。

マサキのことだから、サッカー選手、なんて言いかねないけど。

「俺?俺は結構気持ち固まってるよ。」

やっぱりサッカー選手?

その時、マサキと目が合った。

「ユイカ、俺がサッカー選手とでも言うと思ってんだろ。」

図星なこと言われて、思わず吹き出した。

「やっぱりそうだろ。俺って相当わかりやすい性格って思われてない?」

隣でマドカもケラケラ笑っていた。

「実はさ、福祉関係の仕事に進みたいなって思ってるんだ。」

思いがけないマサキの返答だった。

「福祉?福祉って何やるのさ?」

兄もマサキの方に身を乗り出して聞いた。