おにいちゃんの友達

涙が出そうなのを悟られまいと着けてしまった鎧は、思った以上に重すぎて倒れそうだった。

本当にどうしようもないくらいに私は馬鹿だ。

鼻の奥がツンとした。


兄とマドカがどうしたらいいか困ったような顔をして私を見ている。

だよね。

私もあんなきつい口調で言っちゃたもん。しかもいきなり。

マサキは、きょとんとした顔で私を見つめている。

逆にそんな感情のない顔をされる方が傷ついた。

「やっぱり俺嫌われてるんだ。」

へへっとマサキは笑って兄の肩をポンポンと叩いた。

兄は私をじっと見ている。

まさか、まだ私がマサキを好きだとは思ってなかった?

「マサキも口が悪いからなぁ。だけどユイカも全部本気にすんなって。こいつが言ってること半分は冗談だからさ。」

兄はマサキのおでこを握り拳で軽くコツンとした。

「兄妹愛だねぇ。ユイカ、そんな怒るなって。小学生の頃から慣れてるだろう?俺の愛情表現の一つなんだって。」

何が愛情表現よ。

膝の上で結んだ握りこぼしにぐっと力を入れた。

「ユイカ、大丈夫?」

マドカが心配そうに私の顔をのぞき込む。

こんなのサイテー。

せっかくのお食事会が台無しだわ。

来なければよかった。

勇気を出して来た私が間違いだったんだわ。

だけど、こんな雰囲気作っちゃったのも私のせい。

元に戻さなくちゃ。

目をつむって、大きく深呼吸した。

「マサキ、言い過ぎたよ。ごめん。でも、私だって傷つくことだってあるんだから。」

なんとか言葉を絞り出した。