おにいちゃんの友達

「ところでさ。」

兄がお水を飲みながらマドカに顔を向けた。

「マドカちゃんのお姉ちゃんは元気?」

マドカのお姉ちゃん・・・?

あ、そっか。

マドカのお姉ちゃんも確か兄達と同級生だったっけ。

そんでもって、中学の頃は兄と一緒に生徒会やってたな。

マドカのお姉ちゃんも、うちと同じパターンで優秀で兄とは違うけどこの辺りのトップ高へ進学していた。

マドカは一旦フォークをお皿に置いて「はい。」と答えた。

「そういや、マドカちゃんのお姉ちゃん・・・ってアイカちゃんだっけ?アイカちゃんもめちゃ美人でかしこかったよなぁ。皆の憧れの的でさぁ。俺なんか全く眼中に入ってないって感じだろうけど。」

マサキはそう言って自分の口の周りについたソースを、テーブルの上の紙で拭いた。

「そんなことないですよ。マサキ先輩は有名人だったから。」

「有名人?馬鹿で有名だった?」

「違いますよ~!」

マドカはおどけたマサキの顔を見て、本気で笑っていた。

ふん。

こんな風に本気で笑ったら、マサキのお調子者魂に火がついて大変なんだから。

そんなマサキに突っ込みを入れようとして、やっぱりやめておいた。

兄はフォークにパスタを絡めながら続けた。

「お姉ちゃんももちろん大学進学なんだろ?」

「多分・・・。あんましそんな話しないからよくわらかないんです。」

「そっか。」

兄は妙に頷きながらパスタを口に運んだ。

「へぇ、やけにアイカちゃんのこと詮索してるけど、どうしてかな?」

マサキはちらっと兄を見て笑った。

きっと踏み込んでいい話かどうか、兄の表情で読み取ろうとしてる。

地雷だったら、そっこう引っ込まなきゃなんないってこと、マサキは熟知していた。