おにいちゃんの友達

駅前というやや騒々しい場所の割に、落ち着いたたたずまいだった。

まぁ、正直言うと不似合いな感じ?

「なんか浮いてるよね。」

「うん。」

私達はきっと同じ事を考えていたんだろう。

お店を見上げながら、ゆっくりと店内に入っていった。

それに引き替え、男子達、いや、兄達は「おしゃれだよなぁ」なんて半ばはしゃぎながら私達の後から入ってきた。

マドカと顔を見合わせて、くすりと笑う。

丁度晩御飯時で、店内は混んでいるようだった。

待合室で待っていると、メニューを眺めながら兄が私に言った。

「あゆみおばさん、どうしたんだろね。」

「そうだね。こんな時間にお母さんが呼び出されるなんて珍しいよね。」

「なんでもなきゃいいけど。」

そんな風に言われたら、余計に不安になった。

母が神妙な顔つきで電話していたのも、私に微妙な笑みをみせたのも、実はすごく気になってたから。

あゆみおばちゃんは、独り身だったけどいつも元気だった。

厳しくもいい先生と評判で、若くして教頭、校長とのぼりつめていった。

母とは違う、生きる強さみたいなものを持ってる人。

だから、母には相談できないこともあゆみおばちゃんには話せたし、ある意味とても信頼していた。

「お前、今度顔見に言ってこいよ。」

兄はさらっと言った。

自分で行けばいいじゃんって言い返しそうになったけど、兄の向こうにいるマサキの横顔が見えてやめた。