おにいちゃんの友達

「おかえりぃ。あ、マドカちゃん、久しぶりねぇ。しばらく会わないうちにすっかりきれいになって。」

母は、マドカの肩をポンポンと叩いて嬉しそうに笑った。

「ご無沙汰してます。今日は私まですみません。母がよろしくって言ってました。」

「いいのよー。せっかくなんだし、マドカちゃんならいつでも大歓迎なの。ねぇ、ユイカ。」

「うん。」

本当に今回はマドカがいてくれて随分ありがたいんだ。

「さ、とりあえず入って。どこに食べに行くかまだ決めてないの。」

母は、私達が玄関に入ると扉を静かに閉めた。

リビングから廊下に漏れる明かりが、かすかに揺れていた。

靴を脱いで、玄関を上がる。

リビングに少しずつ近づいていくと同時に私の緊張もマックスになっていった。

その時だ。

「ちーっす。」

リビングからひょっこりマサキが顔を出して私を見下ろした。

「もう！びっくりしたじゃない！」

まじで心臓が止まるかと思った。

マドカも急に目の前にでかい人間が現れたからか、驚いて私の背中にしがみついていた。

「あ、マドカちゃんも一緒なんだ。不細工な奴とご飯はまずいけど、マドカちゃんみたくかわいい子が一緒だと食も進むわぁ。」

マサキはニヤニヤ笑いながら、またリビングへ引っ込んだ。

相変わらず失礼な奴。

こちらが傷つく間もなく姿引っ込めやがって！

だけど、内容はともかくこうやってマサキが私に会話を投げかけてくれるだけで心がほくほくしている。

こういうのを幸せと言うのか、私にはまだわからないけど。