おにいちゃんの友達

まぁ、別にハルトがそんなこと聞いてたところで関係ないけどね。

ハルトも、単に私に彼氏がいるかどうか聞いただけで、ハルト自身が私のことをどう思ってるかなんてわかんないし。

マドカは大体そういう事に関しては短絡的なのよ。

そんなことを頭の中で考えながら、ちらっとハルトに視線を向けた。

なぜかハルトも私の方を見ていた。

一気に顔が熱くなる。

ば、馬鹿!見てんじゃないわよ!

すぐに目をそらした。

妙にドキドキしていた。

ふん。

くだらない。ハルトと目が合ったくらいで、こんなにドキドキするなんて。

変なの。

一人で突っ込んで一人で怒ってる。

こんなこと、確か以前もあったような・・・。


マサキは今頃どうしてるんだろう。

福祉の勉強がんばってるのかな。

彼女とは遠距離恋愛になっちゃったみたいだけど。

色々あっても、結局繋がる人とはずっと繋がっていくんだろう。

私と繋がってる人もきっとどこかにいるはず・・・だよね?

「起立!」

先生が教室に入ってくると、日直が号令をかけた。

椅子をひいて、ゆっくりと立ち上がる。

全然変わっていないように見えるけど、少しずつ新しい自分が生まれてる。

窓から見える空は、とても青くて、とても高かった。

また今日も新しい自分に会えると信じよう。

背筋を伸ばし、しっかり前を向いた。

風が窓を叩く音が聞こえる。

日直の号令と共に大きな声で言った。

「おはようございます!」

窓の隙間をすり抜けた風が私の前髪を揺らした。