おにいちゃんの友達

しばらくの沈黙の後、母が言った。

『マドカちゃんもいるんだったら、マドカちゃんも一緒にどう？マドカちゃんの予定もあるだろうけど。』

マドカ？

マドカ！

そうか、マドカも一緒なら、少しは緊張も紛れるかもしれない。

マドカもうちの兄とは面識あるし、きっと会話をつないでくれる！

心の中でにんまり笑った。

「ちょっとマドカに聞いてみる。」

私はスマホを膝の上に置いてマドカの方に顔を向けた。

「ねぇ、マドカ。今日の夜って空いてる？」

「空いてるよ－。何なに？」

マドカは嬉しそうに身を乗り出してきた。

「あのさ、うちのお母さんが今日晩御飯一緒に食べに行かない？って。うちの兄と、あとマサキもいるんだけどさ。」

その瞬間、マドカの顔が強ばったのがわかった。

でも、すぐにいつものマドカのやわらかい表情に戻る。

「いいのかな、私も行って。」

「いいっていいって。逆に私は来てくれた方がありがたいし。マドカもうちのお母さんやお兄ちゃんと会うのも久しぶりじゃない？」

「そうだね。ちょっとうちの親に聞いてみる。」

「わかった。」

マドカはすぐに自分のスマホで電話をかけた。

そんなマドカを見ながら、自分のスマホを耳に当てる。

『どうだった？』

「うん、マドカ今お母さんに確認してる。大丈夫だったら一緒に行けるって。」

『あら、そう。私も久しぶりにマドカちゃんに会いたいわーって言っておいて。』

「はいはい。」

そう言いながらほおづえをつく。

『じゃ、あんまり遅くなってもあれだし、１８時までには家に帰るようにしてちょうだい。』

「わかった。」

私はほおづえをついたまま、スマホを片手でポケットに直した。