おにいちゃんの友達

しばらくの沈黙があった。

マサキは何を思ったんだろう。

私があんなこと聞いたり、言ったりして。

私の気持ちに気づいちゃったんじゃないかって、ふと心配になった。

「ユイカは・・・。いや、ま、いいや。」

マサキは言い掛けてやめた。

マサキの横顔を見上げた。

「なに?」

思い切ってその横顔に聞いてみる。

「もういいって。」

マサキはそう言って私から顔を背けた。

それ以上は聞けなかった。

すごく気になるけど。

今なら、自分の気持ち伝えられるかもしれない。

そう思った時、辺りが明るくなってきた。

いつの間にか駅前に着いていた。

「シュンタの塾って、あれか?N塾。」

急に明るくなって、マサキの顔がはっきり目に飛び込んできて、急に恥ずかしくなった。

私、今、マサキにとんでもない告白をしようとしてた。

暗がりでは、気持ちが大きくなりすぎだって。危ない危ない。

「N塾だったと思う。」

二人で塾の方へ向かった。

マサキは自分の腕時計を見て言った。

「もうすぐ21時だな。そろそろ終わるか。」

塾の入り口の外で待つことにした。

しばらくすると、塾からたくさんの学生が出てきた。

その集団の中に、兄の横顔が見えた。

私が声をかけるより早くマサキが兄の方へ飛びだした。

「シュンタ!」

そう言いながら、マサキは兄の肩を掴む。

兄はかなり驚いた様子でマサキと私の顔を交互に見た。

「お前達、え?どうした?こんなところで。」

マサキは兄の腕をひっぱって、駅前の公園に何も言わず連れていった。

私も慌ててその後に続く。