おにいちゃんの友達

私も見上げる。

雲一つない夜空は満天の星がきらめいていた。

「マサキは週末は何してるの?」

またたく星を見ながら、胸がドキドキしていた。

「部活。」

「部活だけ?」

「部活と時々デート。」

星のまたたきが一瞬静止する。

「お前さ、こないだカフェで会った時、見たんだろ?」

「な、何を?」

今は、あまり聞きたくなかった。

「俺の彼女。」

視線は夜空から足下に移った。

変な緊張が体中を駆け巡る。

「わかんない。そういえば、マサキの後ろにいた女の人、あれが彼女なの?」

心なしか声が震えた。

「うん。」

「ふ、ふぅん。」

それを言うのがやっとだった。

やっぱり、やっぱり彼女だったんだ。

そりゃ、好きでもない人の鞄なんか持ってあげないよね。

いくら優しいマサキでもさ。

「中学の頃から付き合ってんだ。俺と違って真面目で優等生。どうしてか俺と付き合うことになっちゃったんだけど。」

妙に辺りは静かだった。人気もなくて、二人の歩く影が街灯の光に照らされて長く伸びていた。

「好きなんだ、その彼女のこと。」

「そりゃ好きだろ。付き合ってんだもん。」

ガラスの破片がいっぱい体中を突き刺すような言葉だった。

もちろん、マサキはそんなつもりは毛頭ないんだけど。

「大好きなの?」

自分でも一体何聞いてるんだろう。

「は?さっき言ったし。」

少し照れてるマサキが余計に自分を惨めにさせた。

「マサキは他に誰か好きになるなんてことはないの?」

マサキが私の方に顔を向けたのがわかった。

きっと何言ってんの?こいつ?みたいな表情してるんだと思う。

「・・・先のことは俺もわかんないさ。」

マサキの声はとても優しく響いてきた。

もっときつい言葉を言われるかと思ったのに。

逆にそんなこと言われたら、悲しくなる。