慌てながらも一応返事を返す。



……私、高校生なって澪雄君以外の男子と初めて会話らしい会話したかも……。



いつも返事くらいしかしてなかったし……。


『立花小春ちゃんか。

僕は神咲和希。
よろしくね? 小春ちゃん』




そう言って笑った学園王子……もとい和希君に私も笑い返す。



『……えっと……よろしくお願いします⁇』



おずおずとそう返すと何故か笑った和希君は、目尻に溜まった涙を人差し指で拭う。



……何がそんなに面白いんだろう⁇


私、何か面白いことしたっけ??



考えてもわからなかったため、まぁいいかと自己解決する。


『……って! そろそろ授業じゃない。

次数学よ⁇ 小春、行くわよ!』



そう言ってまた私の手を引っ張って進む雫に、慌てて歩調を合わせて走る。


いきなり立ち止まって私を振り返った雫は、何故か口元に笑みを浮かべていた。


そんな雫に嫌な予感がしながらも、問いかける。



『……小春。

サボろっかッ!』



嫌な予感的中。