そんな雅の呟きとともに、ボールが投げられる。
『和希様ぁ!!!!!!』
『頑張ってくださいッ!』
黄色い悲鳴をあげて応援する女の子たちを見て、雫が耳をふさぐ。
『……ダメだーっ! あんな高い声で叫ばれたら、耳が痛くなるっての』
雫の言った通り、耳が痛くなってくる。
『あ、今ボール波人が持ってる』
桜が言った通りボールを受け取った波人君は、その場でシュートを打ち、見事それがリングに収まる。
『夏帆の彼氏、バスケできるんだね!』
私の質問に顔を赤くして笑った夏帆がうなずく。
その後、どちらのチームも、取って取られての繰り返し。
結局同点で、延長戦にもつれ込んだ。
『おいおい。最初からこんな試合しちゃっていーのかい?』
おちゃらけながら、雅が言った言葉に、私は苦笑いを浮かべる。
『……確かに、あの後はやりにくいね。
これ、最後の試合にしとけばよかったのに』
この後、このコートでやる人たちが、本当に気の毒に思えてくる。
『まぁ、女子は反対側のコートなだけマシね』
そう言った雫に、桜が頷く。
