『ねぇ、あれって、不良で有名の輝矢冬季じゃない?』
下を見ていた夏帆がそう声を上げて、私達はそのまま下を覗く。
『あ、本当だ……』
『あいつも行事参加するんだねー』
輝矢冬季君は、この学校1番の不良と呼ばれている。
まぁ、確かに見た目はそれだけど。
『……雅?』
『っへ?』
『顔、赤いけど? 』
雫が雅の顔を覗き込むようにしてみる。
確かに、雅の顔は赤かった。
さっきまで普通だったのに……。
『……雅、もしかしてだけど』
夏帆がハッとしたように眉間にしわを寄せる。
『あんたの一目惚れの相手って、輝矢冬季⁇』
夏帆のそんな言葉に、私たちの目が見開く。
雅が一目惚れ!?
そんなの聞いてないけど……
『違う。一目惚れなんてしてない』
『あれ? そうだっけ?』
『……ただ、驚いただけだ。
違う学校だと思ってたから』
