『たくっ、何でこんな埃っぽいのよ⁉︎』
怒り気味でハタキを片手に辺りを見渡す雫。
『……ははは…。まぁ、仕方ないよ』
あの後担任に言われたのは、ここ、二階理科準備室の掃除。
『てか、ここ使ってないわよね、絶対』
『んー……そうだね』
『ああ、もう! あのバカ担任‼︎』
雫がハタキを机に叩きつけながら大声で言った時だった。
『誰がバカだって?』
背後から、そんな声が聞こえて、思わず固まる。
先生……⁈
いつの間に……
私よりも早く振り返った雫が、なぜかまた固まる。
『……澪雄⁉︎』
え? 澪雄君⁇
先生じゃなかったことに安心して、私も後ろを振り返る。
『……あ、学園王子』
思わず漏れた言葉に、学園王子の目が細められる。
