『……雅、この子に進展なんてあると思う?』
哀れみの目を私に向けた雫は、ため息をつきながら雅に言う。
『……そうか、まだなのか…』
そう言ってこれまた哀れみの目を浮かべる雅の頭を小突く。
『いったっ! 小春‼︎ 暴力反対!』
ワーワーと叫んでいる雅を無視してチラリとフェンスの外を見る。
そこには女の子と2人で立ち話している学園王子の姿があった。
『あ、学園王子……』
思わず口に出た言葉に首を傾げたみんなが、私の目線の先を追う。
『あれって、告白??』
『そうじゃない⁇』
夏帆の問いに桜が答えながら、みんなで下を覗き込む。
『流石和希だね。
やっぱりモテモテ』
雅がそう言いながら苦笑いを浮かべる。
そういや、雅は学園王子と同じクラスだったよね⁇
『あ、女の子泣いてる』
『振られたのかな……⁇』
